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『奥能登国際芸術祭2020+』

石川県能登半島の先端・珠洲市全域を会場に、地域の歴史や文化とアートの融合を目指す『奥能登国際芸術祭』。新型コロナの影響で開催が一年延期されていましたが、9月に入ってようやく公開が始まりました。

 

その作品の一つとして、珠洲で最後まで稼働していた能登瓦製造工場の建屋で展示されているのが『再会』という作品。ここはほぼ操業時の姿のままだそうですが、内部の設備や残されていたさまざまなものが打楽器となって音を鳴らし、土地の歴史や失われた産業に捧げられるラプソディを奏でるという作品です。

 

この作品の主題でもある「音」が流れ出す装置の制作に携わったのは、当イノベーションセンターのインキュベーションルームに入居する六畳電子設計代表の木下晶文さん。私も木下さんからお話を聴いてどうしても現地を見たくなり、先日、珠洲市まで足を延ばしてきました。

 

内部に入るといろんな設備や資材が、つい最近までそこで仕事をしていたように残されていて、なんとも懐かしい感じが・・・そこへ静寂を破るかのように、さまざまな「音」が響いてくるのです。人の姿は見えないのに、その空間に、かつて働いていた人たちの息遣いが聞こえてくるような錯覚に陥っていきます。本当に感動する空間でした。

 

この作品を創り上げた韓国の作家さん、そして制作スタッフの一人として素晴らしいお仕事をされた木下さんに、心から称賛の拍手を送るとともに、今後ますますのご活躍を期待しています。

 

【木下さんからのメッセージ】

今回、作品のメカ部分を担当させていただきました。同業の古川さんがソフトウェアと通信システムを担当し、リズムマシンとして動作するように、加賀インキュベーション施設の設備を利用し製作いたしました。お客様にも好評なようで、仕上がりにも満足しています。

※特別に、木下さんに舞台裏の装置を公開してもらいました・・・(クリックで動画が再生されます)